堕ちていく二人
傷痕
大阪の真紀の家で玲子と裕也は、滋賀県にいる時には味わえなかった家族団欒の雰囲気を味わった。
真紀の亭主の和博は気さくで優しい男性だった。
料理が得意で玲子や裕也の為に腕をふるい、ご馳走を用意してくれていた。
二年ぶりに会う母親の千代は窶れた玲子に
「大丈夫なのかい?」
心配して優しく声をかけてくれて。
「お母さん、心配かけてごめんなさい。
でも、もう大丈夫だから」
玲子は気丈に答えた。
「それならいいんだけど…」
玲子は母親にも本当の事を言えなかった。
真紀と和博はそんな会話を見守るように聞いていた。
夕食を終え、玲子がお風呂に入ろうと脱衣所で服を脱いでいると、真紀がバスタオルを持ってきた。
「お姉さん、そのアザどうしたの?」
「何でもないのよ」
玲子は身体のアザを服で隠しながら言った。
「こんな酷いアザ、何でもないことないでしょう!」