堕ちていく二人
しかし、裕也が産まれた頃から桂司の態度は徐々に冷たくなったいった。
桂司は滋賀県の裕福な家庭の一人息子として生まれ、幼い頃から何一つ不自由することなく育った。
桂司は大切な跡取り息子とあって、母親は一人息子の桂司を溺愛した。
桂司が欲しがる物は何でも買い与え、幼稚園・小学校・中学校へ登校する時も、運転手に送り迎えをさせていた程であった。
桂司は体育や音楽は苦手だったが、その他の教科は全てオ−ル5で勉強はとてもよく出来た子供だった。
地元の進学高校を卒業後、国立大学の経済学部に入学し、その後も大手銀行に就職と経歴は申し分なかった。
しかし、自己中心的でプライドが異常に高く、物事が上手く行かないと全て他人のせいにした。
仕事が忙しくストレスが多かった桂司は、やがて元々あまり飲めなかったお酒を毎日のように飲み歩いた。
そして、仕事で嫌な事があった日は決まって泥酔して帰宅し、玲子に当たり散らすようになった。
そんなある日の事である。何時ものように酔っ払って帰って来た桂司は、玲子に無理矢理抱き着き性行為をしようとしたが、桂司の性器は機能しなかった。