堕ちていく二人
その夜、玲子と裕也は久しぶりに一緒に眠った。
玲子が裕也をきつく抱きしめながら…。
連休が明けた。
玲子が目を覚まし起きてみると、桂司は既に仕事に出掛けていなかった。
その日以来桂司はまた実家に帰ってしまい、しばらくマンションへは戻って来なかった。
桂司の母親とは犬猿の仲だった玲子は、結婚式以後一度も会っていなかった。
玲子は桂司が実家に帰っても、一切電話をしたり後を追って行こうとはしなかった。
「今度ここに戻って来たら、タダでは済まさないから!」
玲子は独り言を吐き捨てた。
桂司がマンションを出て行ってから、玲子と裕也は落ち着きを取り戻していった。
裕也は元気に幼稚園に通うようになった。
玲子はまた裕也をベビーシッターに預け、京都に住む貴之の元へ走った。
桂司との生活で荒廃しきっていた玲子の心と身体が貴之を求めていた。