堕ちていく二人
貴之君と過ごした時間は短かったけれど、その間私はとても幸せでした。
その大切な思い出を胸の奥に仕舞い、罪を償ってきます。
どうぞお体を大切にして下さい。
貴之君の幸せを心から祈っています。
お元気で、さようなら。 玲子 』
数日後、貴之から玲子の元へ手紙が届いた。
『玲子ちゃん、手紙を読みました。
僕は玲子ちゃんのことを今でも愛しています。
15年という年月はとても長いけれど、玲子ちゃんが罪を償って帰って来るまで、僕はずっと待ち続けています。
だから、それまで気持ちをしっかりと持ち続け、体にはくれぐれも気をつけて下さい。
玲子ちゃんが帰って来たら、僕と裕也君の三人で人生をやり直そう。
そして、今度こそ三人で幸せになろうね。 貴之 』
貴之の手紙を読み終えて、玲子はとめどなく大粒の涙を流した。
手紙の最後には、玲子と貴之と裕也で写したプリクラが貼られていた。
玲子はその手紙を大切そうに握りしめ、胸にきつく押し当てた。
この時、玲子のお腹の中には貴之の赤ちゃんが宿っていた。
(完)