堕ちていく二人
再会
家事も手につかず玲子がけだるくソファーに座っていると、携帯電話にEメ−ルが入った。
『玲子ちゃん、お久しぶりです。
元気にしていますか。
僕は一週間前に転勤で京都に来ました。
ふと、玲子ちゃんのことを思い出したのでメールをしてみました。
機会があれば一度お茶でもしたいですね。
寒さが厳しいので、風邪等ひかないように気をつけて下さい。 貴之』
メールは幼なじみの貴之からだった。
玲子と貴之は家が近所だったということもあり、小学校・中学校とよく一緒に通学をした仲であった。
貴之は中学校を卒業と同時に玲子と同じように両親が離婚、その後貴之は母親と共に東京の母親の実家に移り住むようになった。
それ以後貴之と玲子は同窓会で三回会っていて、最後に会ったのは五年前になる。
貴之は優しくておおらかな性格だった。
東京へ引越しをしてからも、毎年年賀状や暑中見舞いをくれていた。そこに書かれた自筆の文章からは、貴之の優しさが滲み出ていた。
そんな貴之からのメールに玲子は癒される思いがした。
しばらく昔の懐かしい思い出を振り返っていた玲子は、貴之に返事を出した。