殺し屋:黒兎

汐音は心の中で、そう思っていた。


「申し訳ありません。」

「…まあいいでしょう。遊里……あの男は、私の兄に当たる者です。」

「お兄様ですか?……。」

「とは言っても、遊里は正式な子供。私は父の愛人の子供ですがね…。」


遊紀は、辛い顔をする。


汐音はその顔を見て、心の中で笑っていた。


---自分は可哀想な子だとでも思っているのかしら。クス、なにこの表情。---


「つまりは腹違いの兄です。……まぁ、あの男は私のことなんで覚えてもいないでしょうけど…。…それが余計に腹立つのです!!!」


また遊紀は杖を振り回す。


その杖が横においてあった花瓶にあたり、花瓶は台から落ちて割れる。


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