殺し屋:黒兎

本当は恋たちは高校に入学するつもりはなかった。


中学卒業と共に転校という設定で同級生達の記憶から消える予定だったのだ。


「だって、葵を呼び寄せるために入学したんだもん。……恋学校辞める。」

「そうだよな……。」

「そんなに学校に執着してないし。恋に媚びうるだけの友達なんか、いらない……。」


恋の瞳が潤む。


目に、今にもこぼれそうな涙が溜まる。


「友達は、……葵だけで……よかったのに……。」

「……恋、お前泣いてるぞ。」

「え……?嘘、だよ……。恋は、泣いてなんか、ないッ……。」

「我慢するなよ。俺はお前の兄ちゃんだぞ?……もっと、俺に頼れよ。」


恋の頭を撫でながら、優しそうに問いかける玲。

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