殺し屋:黒兎

その言葉に、恋は堪えられなくなった涙を零した。


「ッ……うわぁああぁん!!……玲ぃ…!」

「泣け泣け。」

「恋は、葵を大切だとか言ってたのにッ、こんな、こんな……!」


玲の胸に顔を埋めて、恋は泣きじゃくる。


「……ハルカの言ってること、当たってるんだよ……!結局恋は自分のことしか、考えてな、なくて……!」

「あいつは気にすんなよ。」

「でもッ…!」

「ハルカはお前のことをわかってないからあんなこと言えたんだ。でも俺は恋の事をよく知ってる。強がってるけど、本当は優しい恋のことを知ってる。」

「……優しくなんか、ないぃぃ…!だってだって、……」


―恋は葵を裏切ったのに。


そのことばかりを恋は気にしていた。

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