殺し屋:黒兎

葵の瞳からも、涙が零れる。


唯の時のように、淡々と。


「ごめんなさい……ごめんなさい……!!」

「あお、い……謝らないで……。」

「私……。今までこんな経験がないから分からないの……。友達だっていなかったから……こんなに私を想ってくれる人なんて、いなかったから……。わからないの……。」


ゆっくりと流れていた涙は、やがて溢れ出す。


今まで溜まっていた葵の悲しみや孤独を、全て流しているかのようだった。


「私も恋が大好きだと思うわ……。でも、……好きになったからこそ、裏切られるのが怖い……。だからまだ恋に心を許せない……。」


葵は泣きじゃくった。



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