私の名前、知らないでしょ?
ファッションホテルは空いていた。今日は水曜日だから当然ともいえる。俺は実質働いてないから何曜日だろうと関係なかった。
まおは使いなれた仕草でさっさと部屋を決め、凄くフツーに部屋までヅカヅカと乗り込んで行った。羞じらいとかないのだろうか?悪いやつではなさそうに思えるのだが、こういうすれたところが どうにも隔たりを感じる。もっとも余計な神経を遣わずに済むのは有難いところだった。
部屋は30㎡くらいの白を基調とした落ち着いた内装だった。まおはさっさと携帯をコンセントに繋ぎ、トレーナーを脱いでコーラを飲み、くつろぎ始めた。
「先、シャワー浴びて。」
言われるまま俺はバスルームに入った。
「何で俺がリードされなきゃなんないんだ?」
自問自答したが、言う通りにしないとキレ兼ねないタイプに思えて従うのが利口だと自分に言い聞かせた。目標までもう少しだ。
俺がシャワーを終えるとバスタオルに裸体を包んだまおが入れ違いにバスルームに入った。
俺は缶ビールを冷凍庫から取りだし、一気に半分ほど喉に流し込んだ。やれやれ、なんて女だ。相当のすれっからしだ。とはいえ、結構しっかりしてるし、アタマが良い感じだ。こりゃホントに奥さんにもらうのが良いのかなぁ…。
ぼんやり考えてたらまおがバスルームから出てきた。メイクを落とすと眉毛がない素っぴんに少々びっくりした。とはいえさすが17歳だけあって色白の素肌はきめ細かくて綺麗だった。
ところがまおは意外にも
「じゃあね。」
と言って毛布を被ってさっさと横になり、目を瞑ってしまった。それはないよ、と驚いて俺はそっとまおに身体を寄せ、頬にキスをしてみた。
「何?したいの?」
「うん。」
「スキン着けてね。」
「持ってる。」
薄目を開けて少し微笑んでから、まおは両腕を俺の首に回してきた。まおはパンティ一枚しか身につけてなかった。吸い付くような彼女の肌が俺の身体に重なった。まおの唇をそっと吸った。煙草の匂いが少ししたが、俺はすぐに少女の肉体に沈みこんでいった。
< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop