地味男子
「顔に書いてあるよ?」

「書いてない」



 ばれちゃった?



 どうしよう?



 逃げる?



 逃げちゃえ!!


「あっ!!」


 窓の方に指をさして声をあげてダッシュ。


「柴乃ちゃん!!」


 急に逃げた私を必死で追いかけようとしてくる蒼井。


 廊下を急いで走り角を曲がる。



 ――――――ドンっ!!


 曲がったと同時にぶつかる感触。

「いったぁ~」

「あ…」


 その透き通った声に耳が大きく反応する。


「潤君!! ごめんね? 痛かった?」

「平気。 大丈夫?」


 気にかけてくれてるように見えるけど……名前は呼んでくれない。



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