意地悪なヒト
気付けばそこに。
「いいんちょー!」
「はい?」
ブンブンと手を左右に大きく振って
私を呼んだのは
いつものあいつ
「また…あなたですか…」
ふと、ため息を漏らす私、日比谷優美。
「またって何?ため息つかないでよ」
口を尖らすのは
いつもの彼、梶原巧。
最近、急に私にまとわりついてくる、やっかいな人だ。
「何の用です?」
顔を背けて冷淡に呟いた。
「んー?用?」
おどけた彼の顔を横目で一瞬見ると、私は足を進めた。
「用がないなら、失礼します」
スタスタと、メガネをキラリと光らしピンッと背筋を伸ばして歩く私は、学級委員の長
動機はない。
ただ、先生に頼まれただけ。
ふぅ…と、ため息をついて
前を見つめて歩く
私はなんてつまらない人間なんだろう…
そんなことばかりが
頭の中を占領する。
「ちょっとー、ないとは言ってないでしょーが!」
そう大きな声が後ろから聞こえた。
だけど、どうせまた…
「俺、英語の課題やってねぇの、見して?」
やっぱり。
「お断わりします。」
深々と頭を下げて
再び歩きだす。
毎度のことだ。