意地悪なヒト







手を伸ばして
空を仰ぐ








届け、


届け、


届け、






願っても届くはずないのに…







「バカみたい…」





ポツリと呟いて静かに手を降ろした。











「何してんの、いいんちょー」







空…耳?






どこからか梶原くんの声が耳に届いた。






気に留める様子もなく、
私は窓から空を呆然と見ていた。






「いいんちょー、無視?」





今度は、さっきより近くに感じた声。







「え?」






振り返ると、目の前に梶原くん






ふふんと、笑っている






「なんで…いるの…。」






ため息混じりに呟いた。






「あー、またため息」






そう言った梶原くんに背を向けて
また、外を眺めた。







「教室にいなくていいのですか?」






と、言うか、今は来ないでほしかった。






「いいんちょーは俺がいるの、嫌なの?」






今は…ね。




「別に、いても関係ないですから。」





感情を表に出せないのは
いつものことだ。





「あちゃー、冷たい!」





おどけたように言う梶原くん







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