キミ




「『コレ』が、現実ですから。」



隣に並ぶ奏也様に小さく微笑むと、彼は驚いたように目を見開いた。



「確かにあの子は、まだ中学生の女の子ですよね?」



「……………そうだな。」



「でも、それと同時に『神崎一族』の一角を担う、守護者の1人でもあります。」



これは紛れもない真実、と付け加えるように呟くと、奏也様の息を呑んだ声が、耳に届いた。



「守護者、というものは、神崎一族を守る最後の砦。」



ぎゅっと、守護者の印が刻まれてある左の手のひらを握りしめる。



「どんなに強い敵が現れようと、絶対に破られることは許されない。」



そこまで言って、一歩後ろを歩く奏也様に、向き直った。



「それでは、また後で。」



失礼します、と奏也様に深々と頭を下げた後、自分のクラスへと足を踏み出した。






.
< 11 / 33 >

この作品をシェア

pagetop