キミ
「『コレ』が、現実ですから。」
隣に並ぶ奏也様に小さく微笑むと、彼は驚いたように目を見開いた。
「確かにあの子は、まだ中学生の女の子ですよね?」
「……………そうだな。」
「でも、それと同時に『神崎一族』の一角を担う、守護者の1人でもあります。」
これは紛れもない真実、と付け加えるように呟くと、奏也様の息を呑んだ声が、耳に届いた。
「守護者、というものは、神崎一族を守る最後の砦。」
ぎゅっと、守護者の印が刻まれてある左の手のひらを握りしめる。
「どんなに強い敵が現れようと、絶対に破られることは許されない。」
そこまで言って、一歩後ろを歩く奏也様に、向き直った。
「それでは、また後で。」
失礼します、と奏也様に深々と頭を下げた後、自分のクラスへと足を踏み出した。
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