キミ
・第二章
・始まりのサイン
「俺達が全員呼ばれるなんて、珍しいと思わねぇか?」
「黙って歩きなさい、大地。」
「はいはい…あー、めんどくせぇ。」
そう言って、大地(ダイチ)と呼ばれた少年は、大きな溜め息をついた。
「まぁ、多分呼ばれる理由は何となく分かるんだけどよ。」
「へぇ…アンタも薄々この事には気づいてたの?」
少し驚いたように目を見開く私に、大地は「バカ」と言って口を開いた。
「この頃起きてる不可解な現象くらい、誰だって分かるっつーの。」
窓の外をじっと見つめながら、そう呟く声は闇に紛れて消えていく。
それでも、廊下を歩く足は止めることなく、私は明かりの灯る1つの部屋を目指した。
「その理由をこんなに早く知られることになるなんて、ね。」
「……え?」
「いいから、中に入りなさい。」
大地が纏う茶色のブレザーを引っ張ると、同じデザインをした、私の赤いスカートが揺れた。
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