キミ




早く終わらせないと――…



ザッと戦闘態勢に入って体の向きを変えた瞬間、自分の中の何かが急激に冷めていくのが分かる。




「―――【神崎一族】の名において、貴方を抹殺します。」




淡々と言い放った先には、自我を失った、醜い化け物。



その生き物から目をそらして、左の手のひらを天に翳すと、無感情な声で詠唱を言い放つ。




「――我の中に眠る炎の精霊よ 汝 その力をもって 汚れた魂を救済したまえ…」




ポウッと放出される赤い光。



それは私の言葉に従うように、目にも留まらぬ早さで“ソレ”に向かって突っ込んだ。




「……真黒き魂に、救いの光を。」




静かな声でそう言った瞬間、渦を巻いた業火は、まるで相手の体を抱きしめるように包んでいく。



それが悪魔を焼き焦がすのを見届けると、後ろを振り返ることなく、自分の帰るべき場所へと足を踏み出した。






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