キミ
―――――『神崎一族』
表向きは財界を仕切っている番人と名が通っているけれど、裏では『悪魔』と言われる化け物相手を仕事にする組織。
神崎一族は、全ての悪魔と人間を救済する。
その秩序を破る者がいるのであれば、容赦なく抹殺し、関係のない一般人を守るのが私達の役目だ。
東西南北に散らばる、神崎一族。
その本拠地が、此処―――。
『エデン』と呼ばれる、二つの白と黒の建物は、今の正当後継者が産まれたときに建てられたものらしく、まだまだ新しい。
しかし、そこは何だか怪しげな雰囲気を纏っているため、関係者以外の者が入ってくることは、滅多にないけれど。
その建物の中に、できるだけ音を立てずに入ると、忙しそうに動いていた女中の、皿を落とした音が響いた。
「…きゃあ!優妃さまがっ!!」
「大丈夫、大丈夫。」
女中の甲高い叫び声で、駆けつけてくる足音を耳にしながら、優妃(ユウヒ)と呼ばれた少女は、泣きそうな顔をする女中に優しく微笑んだ。
「なんだっ……!」
「ってか、その服!!」
「おい!誰か着るものを持って来い!!」
怒鳴るような誰かの声に、女中達は頭を下げて、バタバタと廊下を走っていく。
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