キミ
―――そして、この『神崎一族』を纏め上げているのが、代々受け継がれている【神崎】の血族と、その神崎家を護る5人の幹部。
「一応聞いておくが、何があった?」
「帰りの途中、下級悪魔に襲われました。しかし、すぐに処分をしたため、任務に支障はないと思われます。」
心配かけて申し訳ありませんでした、と目の前の彼に向かって、優妃は跪く。
正当後継者の視線を一心に受けながら、優妃は次の言葉を待つ。
「―――優妃」
「何でしょうか、奏也様。」
奏也(ソウヤ)と呼ばれた少年は、自分の掛けていた上着をそっと、優妃に被せると、穏やかな顔で、ふわりと笑った。
「疲れただろ?今日は部屋に帰って、ゆっくり休め。」
「ありがとうございます。ですが、上着は……」
「……その格好でいられると、目のやり場に困るんだよ。」
顔をほんのり赤くした奏也が指差した先には、戦闘の際に解いた首もとが、白い肌を露わにしていた。
「もっ……申し訳ありません!」
「いや、逆に得をしたというか何というか…それじゃ、先に俺は行くな。」
ひらりと手を上げて去っていく奏也の背中を見送ると、優妃はゆっくりとその場を後にした。
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