LITTLE BLOOM.
コポポポポ、と白い液体をカップに流し込んでこうばしい匂いのするトーストにかじりついた。
テレビのリモコンに手の伸ばし、電源を付けると鼻がスッとよく通った白人がこちらに向かって話し掛けていた。
『昨日の深夜3時、スレイヴ系の40代男が脱走したことが分かりました。警察は今も調査を続けており、本日の午後にはスレイヴ系が見つかる予定です』
(名前さえも言わないなんて、どういうことなの…)
画面には、おそらくここ1ヶ月まともに風呂にも入っていない黒く、少しばかり年老いた黒人の写真がうつっていた。
完全に、スレイヴ系だ。
「…ていうか、それを見てるだけのあたしも最低よね」
一人ぽつりと寂しくなる。
ソファに座り、カリカリとトーストを囓る。
テレビは、まだ白人の男がペラペラと英語をしゃべり続けていた。
―――ピルルルル
白色の携帯から電話の着信音が鳴った。
パカリと手際よく開き、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『あっ、陽凪ちゃんー!』
「あ、夏佳さん!」
電話の相手は、あたしのお義母さんだった。