LITTLE BLOOM.







『ど、どう?元気?体は大丈夫?外国の生活には慣れてるの?』

「…うん、大丈夫。すごく元気だし、生活にも慣れてるよ」



本当は、あまり慣れてはいないけれど。

夏佳さんは、心配性であたしが弱音を吐くときっともっと心配する。

なので夏佳さんには悪いけれど、秘密にはしている。



『本当?本当?最近電話なかったから、すごく、心配で……』

「ははっ、ていうか、電話したのほんの3週間前だよ?」

『でもでも心配だったのっ!』

「ありがとう、大丈夫だよ。寮母のベニーも優しいし、家の前で働いてるブローバさんも優しくて面白い人だから」



たった3週間しかたっていないのに、懐かしいな、と思ってしまう。

牛乳を口に含みながらソファの上で寝ころんだ。



『そう……。日本人だから、冷たくされてない?』

「大丈夫だよ。そんなことしない。優しい人たちだよ…」



ディグ系人には、と心の中で付け足した。



『ねえ、帰ってこない?』

「またー?帰らないよ。まだ、見つけてないもん」

『……でも…』



(あたしはまだ、〝見つけてない〟から)

あたしには、見つけたいものがある。

まだ、それは見つけてはないけれど。

それに、高校を卒業して、いつまでも夏佳さんにお世話になっているにはいかないとあたしは判断したのだ。



だから、せめて、見つけるまで帰らない。


そう心に決めて家を出たのだ。








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