瓦礫の下に君がいる
「ふみはきっと、あの頃、自分のしていることの意味すらわからなかっただろうから」
 

ふみのことを京介はそんな風に感じていたらしい。


「ふみは今もあの頃も、子供のまんまだ」
 

子供だったから京介をケガさせることで自分の存在を主張したのだろうか。


腹が膨れていたふみを、あの頃すでにある程度の歳だった京介が気づかないわけがない。


それをなぜ、今の今まで僕はわからなかったのだろう。


それだけ、自分も子供のままだったのかもしれない。


「嫌い」
 

ふみが泣いている。


泣きそうな姿は何度も見たけれど、泣いているのを見るのはどれくらいぶりだろう。


「みんな嫌い」
 

そうだね、と笑う京介は、また窓の外を見ていた。
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