瓦礫の下に君がいる
「あの向こうに何が見える?」
 

太陽が沈もうとしている。


扇風機の風で舞い上がっている京介の髪を僕は見ていた。


「俺にはまたのぼる太陽が見えるけれど、瓦礫の下でうずくまっていた人達にはもう何も見えないんだね」
 

ふみは泣き続けている。


「僕にはそんなものの中にふみがうずくまって助けを求めているような気がしていたんだ。だから来た」
 

僕はとうとう一人になるのか。


そんな気がした。


きっと京介が行く所にふみも行くだろう。


京介をでなく、自分の生んだ子をずっとあの町まで見に行っていたふみが、火災のことを知らなかったはずがない。


それなのに僕は何も変わらない日常を送り、ふみもそうだと思っていた。

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