瓦礫の下に君がいる
最初、冗談かと思った。


あまりに突然なことだったし、小さかったとはいえ、あの町の人達の身に何かあったとは思いたくなかった。


「冗談なんだろ?」
 

そう聞く僕に、京介はまるで今の今まで僕がいることに気づいていなかったような目をして、手を上げた。


ふみが離された手を不安そうな様子で追いかけるのを僕は見逃さなかった。


「俺ほどね、君を愛している人も少ないんだよ」
 

しばらくの沈黙の後、京介はふみの上に戻した手で頭をなでながらふみに語りかけた。
 

そんな言葉を聞いてもふみは仏頂面だ。


「例えふみが瓦礫の下にいたとしても、俺は見つけてみせるんだ」
 

瓦礫とはこの世の苦痛のことだろうか。


それとも、もっと別の何かなのだろうか。
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