瓦礫の下に君がいる
ふみには苦痛が多すぎる世の中だ。


成長をとめたのはふみ自身の意思ではなく、苦悩だ成長をとめたっただろうと思う。


それを武器にしているように感じることもあるけれど、やはり人として、大人の姿になりたかっただろう。


「瓦礫の下敷きになんてならないわよ」
 

やっとふみが口を開いた。


「だってそんなのしんどいもの」
 

そうだね、と京介は微笑んだ。


微笑んだはずなのに、ひどくつらそうな表情に見えたのは気のせいだろうか。


「どうして瓦礫なんだ?」
 

僕が聞くと、みんなが埋まったからだと京介は答えた。


町のみんなが燃えた瓦礫の下敷きになって死んでしまったからだと。
 

大きい火事があった。


それで焼け死んだたくさんの人達。


僕の思い出にある町も木々もみんな燃えてしまったのだそうだ。
 

そして残った瓦礫の下に、炭になった人に死骸がたくさん残った。


「俺は探したよ。その中にふみがいないだろうかって」


< 9 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop