キミの声で、
その時、後ろから声がした……
「美しい月で美月。
奏でる詩で奏詩。
男の名前にしては、綺麗しぎるよな。」
誰?
綺麗な声…
聞いてると心地いい…
私は後ろを振り返った。
“彼”と、目が合う。
春風になびく黒髪、吸い込まれるような黒瞳…
その黒は彼の白い肌によく映える
チョットかっこいぃかも…
なんて思ってると…
「お前が奏詩のナンパ相手?」
彼は上から目線で言ってきた。
『違いますッ!!』
な、何なのこの人っ!
走ってきた彼もそうだけど!
「稜ーそれが違うらしいんだよ!
陸じゃあるまいしーみたいに言いやがるっ
オレが軽い男みたいじゃんなぁっ!」
うるさ…
声おっきい…
私は思わず耳を塞いだ。
「まぁ、間違ってねぇなぁ。」
「稜までっ!
ヒドイっ!いじめっ!」
「黙れ。うるせぇぞ。」
「怒りなさんな♪」
あのー…?
私と奏詩君の存在忘れられてない?
「2人とも、いい加減にしてくれる?」
2人の言い争いを止めたのは奏詩君だった。