キミに届け
初めて見るこっちからの世界。
明るいフロアに響く声。
あたしはその中を、初めて〝店員〟として歩いて行く。
新鮮だった。
ドキドキで爆発しそうになりながらも番号を確認し、その番号の元へと向かう。
緊張していたけど、ドキドキだったけど明るい足取りだった。
足取りは軽かった。
角を曲がり、その番号の―――…
一歩踏み出したその足は、目の前の事実によって元の位置に戻ってしまった。
明るかったその足取りが。
軽かったその足取りが。