キミに届け
そんなこと…知ってる。
ちゃんと分かってる。
あたしは頭を抱えて小さく呻く。
どうして本気で好きになってしまったんだろう…。
冴子…もっと早くにあの言葉を言ってくれればよかったのに。
もう少し早く言ってくれれば諦められたかもしれないのに。
そこであたしはハっと気づく。
最低だ。
あたし…。
友達のせいにしてしまう自分が許せなくて悲しくなった。
今のあたしは少しオカシイ。
フロアからは冴子と青木さんの楽しそうな声が聞こえてくる。
その楽しそうな声から逃げるように、あたしは必死になって働いた。