キミに届け
思えば思うほど悲しくなって、胸が苦しくなる。
冴子の悲しみがあたしにも流れ込んでくるような感覚だった。
「だって、あ、あたしは…!!!」
静かな空間に、冴子の悲痛な叫び声だけが響く。
訊いていられなかった。
冴子…。
そろそろ授業が始まるのかもしれない。
どこからも生徒の声が聞こえなくなった。
教室に戻った方がいいのかも、とそう思って階段を下りようとしたときだった。
「ちょ…!! ちょっと待ってよ?!」
さっきまでのただ叫ぶだけの声じゃなくなり、困惑の混じったような声に変わった。