キミに届け
あたしの進もうとした足が止まる。
すると突然響いたドカンだかバカンだか分からない音。
あたしの肩が激しくビクつく。
あまりに激しいその音に、ビックリしすぎて階段を踏み外しそうになった。
静かな空間に余韻が残る。
多分冴子が壁でも蹴りつけたんだろう。
冴子らしくないその行動に、あたしは静かに眉を顰める。
その時、冴子が荒い足音と共に下へと降りてきた。
「…あ」
あたしを捕らえた冴子の瞳が、一瞬怒りに歪んだ気がした。