キミに届け
あたしはビクリと肩を寄せる。
さ…冴子…?
黙っていたらいけない気がした。
だからあたしは小さな小さな声で冴子の名前を呼ぶ。
「…冴子…?」
小さすぎて聞こえたか分からないような声だった。
冴子はあたしの声に、ハっと目を見開く。
そして、笑った。
ぜんぜん笑顔になってない笑顔を顔に貼り付けたまま、あたしのところへと来た。
あたしは不安な顔をしているだろう。
だから冴子は笑ったんだと思う。