キミに届け
どう声をかけたらいいか分からない。
彼氏がいたことのないあたしは、別れるという辛さや苦しみが分かってあげることができない。
下手に「辛かったね」とか「またいい人に出会えるよ」とか言うのはかなり嫌だ。
言うあたしだって嫌だし、言われた冴子だって嫌だろう。
訪れたのは苦しい沈黙。
やけに速い心音が聞こえてしまいそう。
ゴクリと唾を飲み込むだけで冷や汗に似たようなものが流れ出す。
それを破ったのは冴子だった。