キミに届け



使い道のないお金。


だったら誠くんに使おうと思ってしまった。



やめとけと叫ぶあたしがいる。


いいじゃんと笑うあたしがいる。



境目が分からなくなってきてしまった。



白と黒が。


灰色へと変わっていく。



あたしは誠くんから目を逸らさないまま、小さく頷いた。



誠くんは「そっか」と呟き、ポッケに5000円札を突っ込む。



「お釣りはは後であげるね」



同時にあたしと誠くんの距離がぐっと縮まる。


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