キミに届け




いきなりあたしが怒鳴ったことに驚いたのか、誠くんの抵抗がなくなる。



それだけで嬉しい。


それだけで悲しい。



「ダメ…かな…?」



あたしは前を向いたまま呟く。



とてもじゃないけれど、誠くんの方なんて、とんでもじゃないけど見ることなんてできなかった。



あたしの呟きは風に流されて行く。



沈黙がとてつもなく苦しい。


次に来る言葉を訊くのがコワい。



手が自然と震えてしまう。




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