キミに届け
あたし達は電車であるところへと向かっていた。
時間がないから近場でいいと思ったけど、他の女の子に見られるのはきっと嫌だろうし、あたしも嫌だったから少しでも遠くに行くことにした。
電車の中でも誠くんはずっと手を握っていてくれた。
冷たかった誠くんの手は、いつのまにか温かくなっていた。
今日だけでいい。
それだけでいい。
何度も自分に言い聞かせる。
今だけはあたしだけを見ていてくれているよね?