キミに届け



あたしは言う。



本当なら絶対に言いたくない一言を。


けれどあたしがこの口で言わなくちゃならないことを。



この口で言う。



言わなくちゃいけない言葉を。


その言葉を、あたしが。




「帰ろう」




この声はあまりにも小さかった。


もしかすると震えていたかもしれない。



けれど誠くんに届いたのは確かだった。




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