キミに届け
ふっと、プリントに触れるか触れないか。
――――ぐっ
思いっきり後ろに引かれる。
掴み損ねたプリントが床に滑り落ちる。
同時に背中に温かいぬくもりを感じた。
体に誰かの腕が巻きつく。
抱きしめられているということがすぐに理解できた。
あたしは落ちたプリントを掴もうとしたままの体勢で固まる。
ぎゅっと苦しいくらに抱きしめられるその温もりからは、何か、苦しそうな感情が流れ込んできた。
「…本当に最悪」
耳元で声。
あたしは頭が真っ白になった。