キミに届け
心が震える。
声が震える。
体が震える。
けれど、この震えはあたしだけじゃないような気がするのはどうして…?
「だから…最悪って言ってんじゃん」
「…さい…あく?」
あたしがそう呟いたときだった。
くるっと一回転したのと同時にあたしの前に誠くんが来た。
どうやらあたしが回されたらしい。
誠くんはあたしと目線を合わすことなく俯いたまま。
あたしは擦れた声で誠くんの名前を呼ぶと、ゆっくり顔を覗き込む。