キミに届け
そこからは温かなぬくもりが流れ込んでくる。
初めて触れた。
初めて感じた。
それはあまりにも現実味がなくて、夢のようにフワフワと形状をなしていなかった。
お金なんかじゃ絶対に買えない。
それは愛のこもったキスだった。
ゆっくりと離れていく唇。
それがとてつもなくスローモーションに感じた。
突然の出来事に硬直するあたしを見た誠くんは、ふっと意地悪っぽく笑う。
瞬間、火が付いたんじゃないかって勢いでボっと顔が一気に熱くなった。