キミに届け




あたしはじっとそのどこまでも吸い込まれるような瞳を見つめていた。



彼はゆっくりと目を開き、そしてあたしを見つめて聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で言う。





「…誰?」





間近で発せられたクリアーボイス。



それはあたしが近づいたのではなく、彼が体を起こしたせい。




あまりに突然のことに、あたしは思わずその声が発せられた口を見て停止してしまった。




質問された以前に彼があたしに話しかけてくれたことが嬉しすぎて、あたしは1人パニック&ハイテンションで天にも昇れる気になっている。




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