キミに届け





誠くんはそのまま慣れた手つきであたしの手を取り、自分の口元まで持っていく。



その滑らかな動きに、あたしはただ呆然と彼を見ていることしかできなかった。




次の瞬間、聞こえたのは〝っちゅ〟って音。



訊いたことのない音。




その音はしっかりとあたしの耳に聞こえた。



あたしは目を見開いたまま硬直する。




ななな…ッ?!



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