キミに届け
誠くんの唇があたしの手の甲に触れている。
生々しいその初めての感触に、あたしは顔を真っ赤にさせたまま何も言えなかった。
ただグルグルグルグルと脳内を回るのは〝どうして?〟という言葉だけ。
一向に理解できないあたしの代わりにでもなるかのように、誠くんは小さく笑うとこう言った。
「愛してるよ?」
その甘い囁きが、ゆっくりとしたテンポであたしに流れ込んでくる。
来ると思っていた、訊きたくなかった言葉は一転、訊きたかった言葉に変わった。
…え?