キミに届け
あたしは情けない顔をしたまま、パクパクと空気を求める魚のように口を動かすことしかできない。
言葉にしたいことが山ほどあるのに、あたしはそれを何1つ言葉にすることができないでいる。
だって、分からない。
彼はあたしのことを知っていた?
彼はあたしのことが好きだった?
分からない。
1つも分からない。
〝愛してる〟?
言葉の意味が全く理解できないあたしは、ボーっと誠くんを見つめたまま硬直する。