キミに届け
一方誠くんはどこか面白そうに、まるであたしに見せ付けるかのようにゆっくりと口角を上げる。
そんな単純な動作に、ドキっと心臓が跳ねる。
色っぽいなぁと思った。
普通に女子よりも綺麗なんじゃないだろうか。
何を言ったらいいのか、何をしたらいいのか分からないあたしは、ただ誠くんを見つめることしかできなかった。
誠くんはゆっくりとベンチから腰を上げる。
あたしは誠くんの立ち位置を空けるように一歩さがる。
分からないことだらけで頭が回らない。