キミに届け
残されたあたしはボーっとしているわけにもいかないので、ざわめく女子たちをかき分けて誠くんの元へと向かった。
それだけで一苦労。
それだけで息が切れる。
これで人気がおさまった方だというんだから、前はどんだけだったんだよなんて訊いてみたくなる。
…コワいから訊かないけど。
近づいてきたあたしに気がついたのか、誠くんはあたしを見つけ微笑んだ。
ほら。
もう遅い。
あたしに笑ってくれただけで心はホンワリと温かくなる。
キュンって胸が締め付けられる。