キミに届け
けれど、そんな殺気のような気配に気づかない誠くんは空気を和ますかのように、
「奈々ちゃんもどう?」
そう問う。
すると女子たちは「なんだー」とでも言いたそうに、再びハシャギだした。
あたしはその質問に分からなくて首を傾げる。
そんな不思議そうな顔をするあたしに、誠くんは分かりやすく説明するように言った。
「今日、みんなで帰る?」
それか、と思った。
同時に苛立ちのようなものが湧き上がってくるのが分かった。