キミに届け




「じゃね」そう言って誠くんはまたこの前のように行ってしまう。



誠くんは何も分かってない。


あたしは立ち去って行く誠くんの背中を見つめ思う。



あたしはお金でああいうことがしたいんじゃない。


女の子の中の1人になりたいんじゃない。




1番になりたい。




そう思ってしまった。



けれどそれは叶うことのない願いだった。



誠くんは〝あたし〟を見てくれない。


誠くんは〝お金の持っているあたし〟を見ているんだ。




何も分かってない。




誠くんは…何も分かってない。
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