*coffret a bijoux*(SS集)
悪魔の罠に堕ちたあたしの
限界は、もうすぐそこ。




――もういいや。



だって今夜はこんなに月が
キレイなんだから。



あたしと柊弥が神の前で
永遠の愛を誓った、
記念すべき日。



そんな特別な日だから、
あたしの頭も少しだけ
どうかしてるのかもしれない。



月と柊弥に誘われて――

このまま狂っちゃうのも
いいかもしれない、なんて
思い始めてる――…。



「ホラ。言えよ、梓」



「ぁ………」



月光に濡れる柊弥の瞳が
あたしをとらえた。



あたしは体を巡る熱にクラ
クラしながらゆっくりと
唇を動かし――そして、囁いた。



魅惑の罠に溺れていく、
甘い呪文を。
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