*coffret a bijoux*(SS集)
目を細めて膨れっ面の奈々に
『違う!』と否定しながら、
瞬也はあたしの差し出した
麦茶をグイッと一口で飲んだ。

そして、


「こないだ話してただろ。

他社でもやってるバーチャル
デートシステム、うちも
始めてみないかって。

あれ、やっぱぜひやるべき
だと思うんだよね」


「あぁ……」


そういえば、と思い出して、
奈々と顔を見合わせるあたし。


たしかにそんな話、おとつい
くらいにしてた。


バーチャルデートっていう
のは、つまり擬似デートの
ことだ。


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