*coffret a bijoux*(SS集)
鞠花ちゃんは泣き寝入り
して、今朝にはもう何も
言わなかったから、村上
さんもたいして気にとめて
なかったんだけれど……。




「――鞠花には、それが
よっぽどショックだったのね。

まさか、こんなことを
考えるなんて……」




娘の小さな手をギュッと
握りながら、自嘲ぎみの
声で話す村上さん。




その体に寄り添うように
立つ鞠花ちゃんも、今は
心から申し訳なさそうな
顔をしてた。



お母さんにどれだけ心配
かけたかが、よくわかって
きたんだろう。



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