*coffret a bijoux*(SS集)
ボクが『はい』と答え
ようとしたのよりほんの
少し早く、鞠花ちゃんが
先に口を開いた。




「うん。

だけど――お砂糖のない
紅茶は、おいしくなかった。

“鞠花らしい”紅茶は、
やっぱりまだ、お砂糖と
ミルクがたっぷり入った
紅茶なの」




「え………?」




「でも、それでいいの。


いつか、ママとおんなじ
飲み方がおいしいって
思えるまでは……。


それまでは、今のまんまでいい」



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